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渋谷のでかい交差点で、僕は、俺は、私は

【歌詞考察】ヨルシカ「ただ君に晴れ」 -前編-

こんにちは。

Ryoです。


今回は大好きな歌詞考察をやろうと思う。


この世の中には本当にたくさんの楽曲が存在しているけど、心に響く歌詞ってけっこう少ない。

ストレートすぎてつまらないもの、そもそも意味なんかどうでもよくてメロディーにノることを目的としているもの等。

きっとその中には、歌詞の意味がわからなくて、共感できないものもあるだろう。

でももしその意味がわかったら?

音楽をもっと楽しめるようになる。

音楽がもっと好きになる。

私に作曲はできないけれど、歌詞の意味を伝えることで音楽をいろんな人に広められると思う。

私の記事を読んでくれた誰かが、音楽をもっと楽しめるようになってくれたら嬉しいなあ。






では行こう。






初回は有名なところから。

YouTube再生回数3000万回を突破。

圧倒的なメロディーと意味ありげな歌詞、ノスタルジックなMVで主に中高生を惹き付けてやまないこの曲。




ヨルシカ「ただ君に晴れ」




個人的にもものすごく好きな曲で、最初はメロディーから、次に歌詞を、という形でハマった。

何はともあれ歌詞がなければ始まらないので、著作権に気を付けつつ歌詞を引用する。



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ヨルシカ-ただ君に晴れ

作詞作曲、編曲 : n-buna


夜に浮かんでいた
海月のような月が爆ぜた
バス停の背を覗けば
あの夏の君が頭にいる

だけ

鳥居 乾いた雲 夏の匂いが頬を撫でる
大人になるまでほら、背伸びしたままで

遊び疲れたらバス停裏で空でも見よう
じきに夏が暮れても
きっときっと覚えてるから

追いつけないまま大人になって
君のポケットに夜が咲く

口に出せないなら僕は一人だ
それでいいからもう諦めてる

だけ

夏日 乾いた雲 山桜桃梅 錆びた標識
記憶の中はいつも夏の匂いがする

写真なんて紙切れだ
思い出なんてただの塵だ
それがわからないから、口を噤んだまま

絶えず君のいこふ 記憶に夏野の石一つ

俯いたまま大人になって
追いつけない ただ君に晴れ

口に出せないまま坂を上った
僕らの影に夜が咲いてく

俯いたまま大人になった
君が思うまま手を叩け

陽の落ちる坂道を上った
僕らの影は

追いつけないまま大人になって
君のポケットに夜が咲く

口に出せなくても僕ら一つだ
それでいいだろ、もう

君の思い出を噛み締めてるだけ

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なんというか、いろいろ素晴らしいんだ。

じゃあ早速読み解いていこう。


まずは冒頭部分。

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夜に浮かんでいた
海月のような月が爆ぜた
バス停の背を覗けば
あの夏の君が頭にいる

だけ

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ここは恐らくただの情景描写。

けど、あえて「海月のような」と比喩を用いているのには、ちゃんと理由があると思う。

海月って、ふわふわぷかぷかしてるよね。

これはきっと、現在の「僕」のどうしようもないまま社会を漂っている様や、「君」との思い出があやふやなまま記憶に残り続けていることを表現したかったんだと思う。

強調されている「だけ」の 部分は、もう少しあとの方の歌詞に関わってくるんだけど、ここの「だけ」は、本当に僕はそれだけなんだ、という「だけ」だと思う。

そしてこの「僕」は、バス停の背を覗いてあの夏の君を思い出すみたいなんだけど、ここが実は伏線だったりする(伏線①)。


次。

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鳥居 乾いた雲 夏の匂いが頬を撫でる
大人になるまでほら、背伸びしたままで

遊び疲れたらバス停裏で空でも見よう
じきに夏が暮れても
きっときっと覚えてるから

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夏の鳥居、いいよねえ。
これをノスタルジックだと思える人とはたぶん仲良くなれる。

大人になるまで背伸びしたままっていうのは、ほとんどの人が経験あると思う。

大人なのか子供なのかはっきりしない、あやふやな境界線で生きている中高生そのものだよね。

そしてなんとここも伏線(伏線②)。

遊び疲れたらバス停裏で空見てたんだね~この二人……。

伏線①早速回収。

冒頭で、バス停の背を覗いて君を思い出したのは、遊び疲れたらバス停裏で一緒に空を見てたから。

相当この「僕」はバス停裏での時間が思い出深かったんだね。

じきに夏が暮れてもきっときっと覚えてたね。
ここは個人的に鳥肌ポイント。

次。

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追いつけないまま大人になって
君のポケットに夜が咲く

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サビ。

伏線②回収。
追いつけないまま大人になってしまったんだよね。

背伸びしたまま、前に踏み出せないまま。

君のポケットに夜が咲くっていうのは、歌詞だけ見てると何かのメタファーかな?って思うんだけど、実はここのヒントはMVにある。

MVでは、AメロBメロで制服姿の女の子が夏の景色の中を歩き回ってて、サビで急に夜の都会の喧騒に切り替わる。

急に夜に切り替わる……夜が咲く、みたいな感じ。

じゃあ、なぜ君のポケットに?
ここは完全に予想なんだけど、思い出の中の「君」はキラキラしてて、暗いところ、闇が広がりそうなところがポケットの暗がりしかなかった、といった感じだろうと思う。

ポケットの暗がりが見えるってことは、思い出の中の「君」は背中を向けてるってことになると考えると、追いつけなかった、というところにも繋がってくる。

次。

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口に出せないなら僕は一人だ
それでいいからもう諦めてる

だけ

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サビの続き。

ここはここだけだと全く意味がわからなかったんだけど、この後の歌詞を読み解いていくと、「僕」の変化が見られて感激した。

一応伏線ということにしておこう(伏線③)。




これでとりあえず1コーラス終わったけど、最初思ってたのより長くなったから、前後編に分けようと思う。


とりあえず今回はここまで、また後編で。