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【TCG】対戦の制限時間について 《弱さの証明》

こんにちは。Ryoです。

今回は、TCGにおける対戦の制限時間について話そうと思う。

これについては色々な意見があると思うので、あくまでも僕個人の意見として聞いてもらいたい。

では行こう。









8月にワシントンで行われたポケモンの世界一を決める大会、ポケモンWCS2019のカード部門決勝にて下されたジャッジによる判定が、少し前に話題になった。


1分22秒の長考により、スロープレイのペナルティが下され、それによってそのゲームを落とすといった内容だ。

ペナルティを受けたプレイヤーは大変人気があり(僕も好き)、それまでのゲーム展開が激アツだったことも相まって、ネット上ではジャッジに対する批判の声が相次いだ。


多くのカードゲームには大会を円滑に運営していくためのフロアルールが存在し、基本的にジャッジはそれに沿って判断を下す。

大会後の本人の生配信では、正当なペナルティではなかったことが明かされているが、「警告」という形でならジャッジの判断は"100%ではないが"正しかったと本人の発言からは読み取れた。(詳しく話すと長くなるから割愛)


ではなぜスロープレイに対して警告やペナルティが課せられるのか、「円滑に運営していく」とはどういうことか、詳しく見ていこう。




●《円滑な運営 = 定時退社》

ほとんどの大型大会は、1日あるいは2日間で行われる。

広い会場を貸し切り、予めスケジューリングされた通りに大会は進んでいく。

逆に言えば、スケジュール通りに進まないと、その日の日程が終わらず、大会の運営やプレイヤー等多くの人間が夜遅くまで拘束されることになる。

スタッフに関しては実質残業だよね。

楽しいならそれはそれで良いんだが、時間が延びれば延びるほどコストもかかり、各所から不満も出てくることだろう。



そんなことが起きないように、カードゲームの大会では対戦に制限時間が設けられている。

その日は何回ゲームをする必要があるのか、開始は何時で終了は何時か、休憩はどれくらいか、その他様々な要因を勘案し、終了時刻に全日程が間に合うように、1試合当たりの制限時間は決定される。


15分、20分、25分、マッチなら60分、等々……。

大会を円滑に運営していくため、時間通りに終わらせて定時に帰るために、制限時間は必要なのだ。


でもこの制限時間は往々にして、かなりタイトな試合展開を要求してくる。

要はめちゃめちゃギリギリなのだ。

試合がもつれ込んだ場合なんかは、どんなに素早くプレイしていても時間切れが起き得る。

運営から課された制限時間に対して、


「時間足りねーよ!!」


と仰る人もいるかもしれない。


でもそれは言い訳にすぎないんだよね。

練習不足。

制限時間内に勝ちきれるデッキを選べなかったデッキ選択ミス。

上手く扱いきれないプレイヤーのスキル不足。

ひとつひとつの動作が遅い。

思考のパターン化が足りない。

等々。


それに、先程述べたように、1試合当たりの制限時間はその日の試合数を参考にしているところがあるため、

「参加できる人数を大幅に削り、1人当たりの試合数も減らしてまで制限時間延ばしますか?」

という話にもなってくる。

楽しめる人は減るわ、試行回数減少で運の要素が強くなって競技性が落ちるわで、プレイヤー側からすればメリットなんてないのである。


どうかどうか、大会の制限時間には文句を言わないであげてほしい。



●《スロープレイにペナルティが課せられるワケ》

試合で時間切れを起こしてしまうと、本来のゲームルール通りでない勝敗の決め方をされてしまう。

例えば「相手のライフを先に0にした方が勝ち」というルールなら、時間切れ時点でライフが多い方が勝つことになるだろう。

その後のゲーム展開で逆転できる可能性が高かったとしてもだ。

そんなのはもう別のゲームじゃなかろうか。



スロープレイにペナルティが課せられるのはこれを抑制するためだ。


意図的にプレイ速度を落とし、「相手よりライフを多く持ち続ける」練習をし、時間切れによるライフ差で勝とうと目論む器の小さな人間を駆逐するためだ。


運営側にも、タイトな制限時間を課しているとは言え、しっかりゲームをして勝負を決めてほしいという意思があるのだろう。

冒頭でポケモンWCS決勝のジャッジが「"100%ではないが"正しかった」と敢えて言ったのは、ペナルティを受けた本人に遅延の意図がなく、また試合展開を鑑みても非常に難しい局面で、遅延を行うメリットが全くなかったからである。


時間切れで勝とうと目論む器の小さな人間を駆逐するためのルールが、その必要性が全くない場面で発動してしまったら、そりゃあ批判は免れないだろう。


片方のプレイヤーによる意図的な遅延を抑制するために、チェスクロックを導入すべきでは、という意見もちらほら見かける。

確かにそれはいいよなあとは思うけど、ターンプレイヤーのターンに、非ターンプレイヤーが選択を行うカードが存在するカードゲームだとそれもできない。

懐疑論的に言えば、そのカードを使用したときに対戦相手が不必要にこちらの時間を消費してくる可能性だってなくはないのだ。

難しいところではあるが、チェスクロックが導入できるカードゲームタイトルってけっこう少ないんじゃなかろうか、と思う。



●《我々プレイヤーはどうするべきか》

制限時間の必要性や、スロープレイに対するペナルティの意味がわかったなら、我々がすることは1つだけ。


なるべく素早くプレイすること。


具体的に言えば、ターン開始時のドローやタップアンタップ等、1試合内だけでも相当数行う挙動を1秒早くできれば、その積み重ねによって1分近く時間短縮できるだろう、ということだ。

1分縮めれば1ターンになるし、1ターンあれば残り少なくなった相手のライフを削りきることだってできるかもしれない。

別にカードを投げるようにプレイしろとか、考える時間を減らせとか、そういうことを言っているのではない。

カードは丁寧に扱って然るべきだし、思考のゲームなのだから考える時間は絶対必要だ。


そうじゃなく、一手一手の動きを早めること。


制限時間内に勝負を決めて、なるべく時間切れを減らしていけたら、ライフ差による理不尽な決着もスタッフの残業もなくなっていく。

そしたらみんながもっと楽しくなるよね。




最後に。


遅延するプレイヤーは弱い。

ゲームで勝負できないから、時間切れで戦うしかない。

たとえ時間切れでゲームに勝ったとしても、プレイヤーとしては敗北だよね。

でも勝っちゃうと普通の練習をしなくても良いと思っちゃうから、尚更勝てない。

時間切れで戦うしかない。

悪循環だ。


真面目にゲームして負けても、それをバネに練習したり、デッキを見直したりすれば、勝てるようにはなるんだけどなあ。

ていうかそこがカードゲームの楽しいところじゃないのか。

「勝ちたい」っていう強い気持ちはあるだろうから、ちょっともったいないよね。








今回はここまで。