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【TCG】タイマーボールに見る「ショックの忘れにくさ」

こんにちは。

Ryoです。

今回は、TCGにおける「ショックの忘れにくさ」について、ポケモンカードの「タイマーボール」を例に説明していきたいと思う。

あなたのデッキ調整の手助けになればいいな。



では行こう!










ポケモンカードには、「タイマーボール」というカードが存在する。


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コインを2回投げて、オモテの数だけポケモンを手札に加えられるという効果を持っている。

基本的にポケモンカードでは、特定のポケモンを手札に加えるカードには、手札をコストに要求するものがあったり、手札に加えられるポケモンのタイプ(属性)に制約がかかっていたりする。

そんな中「タイマーボール」は、コイン投げの結果次第ではあるが、最大2枚ものポケモンを手札に加えられる。

コインを1回投げてオモテが(あるいはウラが)出る確率は2分の1であることはよく知られているが、「タイマーボール」を使用してコインを2回投げるとなると、期待値的に1枚はポケモンを手札に加えられることになる。

手札コストを要求せず、タイプに縛りもなく、(進化ポケモン限定ではあるが)好きなポケモンを手札に加えられる「タイマーボール」は、非常に強力なカードだ。






確率的にはね。






ではこの「タイマーボール」、実際に使用してみるとどうだろう。


経験者ならわかると思うが、ウラが2回出ることも往々にしてあるのだ。


確率だけ言えば25%なので、まあ4回に1回はそういうこともあるのかなあと。

じゃあ1枚目の「タイマーボール」が2回ともウラだったので、「タイマーボール」をもう1枚使って、ポケモンを手札に加えようと試みる。


そしたらなんと、また2回ともウラが出た。


この状況、あなたは耐えられる?

こうなる確率は理論上6.25%だ。

逆に言えば、「タイマーボール」を2枚使って1枚以上ポケモンを手札に加えられる確率は、93%を越えている。


えぇ!?なんで!?なんでウラしか出ないの!?


となるはずだ。少なくとも私はそう。

じゃあここから本題。

「タイマーボール」を2枚ともスカしたあなたは、ショックのあまり試合後にデッキを広げ、2枚の「タイマーボール」を手に取ってこう考える。


(タイマーボール、弱くね?)


……………………。




では質問。

あなたはこのタイミングで、「タイマーボール」をデッキから抜く?

それとも抜かずにそのままにしておく?


実はここが、強いデッキを組めるかどうかの分岐点となる。

答えだけ先に言うと、「抜かずにそのまま」が正解。
どういうことか説明していこう。

その2枚の「タイマーボール」には、そのデッキに採用となった明確な理由があるはずだ。(理由無いなら抜いてもいい)

それを、たった1回の試合の、たった1回の失敗だけで切り捨ててしまうのは、あまりにも軽率すぎるというわけだ。

ポケモンカードでは、特定のポケモンを手札に加えるためにカード2枚を使って、手札に加えるカードが1枚だけという結果でも、十分強い。(というか1枚得)

むしろこの「タイマーボール」は、それを遥かに凌駕するほどの最大出力を秘めており、そこに期待しての採用というのも十分に考えられる。


「でも、2回ともウラを何回も繰り返すんだよ……」


これは間違い。確率は収束する。

たった数回の試合で「タイマーボール」の価値を決めてしまうなど、絶対にあってはならない。

そのデッキで何十回と「タイマーボール」を使い、その倍の数のコインを投げていると、ウラとオモテの比率はだいたい同じになる。

コインが4回連続でウラを出すということがあれば、4回連続でオモテを出すということも十分にあるのだ。



でも人はなぜか、2回ともウラが出た局面を妙に鮮明に記憶している。

これはタイトルにもある「ショックの忘れにくさ」にそのまま繋がってくる。

この「ショックの忘れにくさ」のせいで、構築を歪めてしまう人がけっこういるのだ。


「タイマーボールはコイン投げてもオモテが出ないので抜きました!!」


こういう人たちだ。

人間は嫌なことがあると、それを何度も思い出してしまう生き物だ。

他人に1回だけ言われて傷付いた何気ない一言も、自分の中で何回も再生することで、何回も言われた気になって、忘れられなくなるのだ。

それと同じ。

「タイマーボール」で1度全部ウラを経験すると、「タイマーボール」を見るたびにそれを思い出し、全部ウラの記憶がこびりついていく。

カードゲームっていう理論の遊びにおいても、我々は結局人間でしかいられないというわけだ。


なんか急に話がややこしくなってしまったが、結局言いたいことは、"1度失敗したくらいで構築を考え直すことはないよ"ということだ。

何度か対戦を重ねて、その時の運以外の要素で徐々に構築を見直していくことが、より完成形に近いデッキを組むコツなのである。


カードゲームは、人生と違って何度失敗しても実害がない。

だからこそ、普段の生活じゃなかなかできないトライ&エラーを繰り返し、自分だけのデッキを作り上げていこうではないか。


大丈夫、確率は収束する。必ずね。









今回はここまで。